875話 骨盤に注目 2

筆者は、整体として人にするだけでなく、セルフでやれる調整法を常に欲求しているので、骨盤各部を押さえながらの自然体チューニングも色々と思いつく。


実に効果的である。骨盤各部を押さえながら、脚のライン取りをしつつ骨盤を緩やかに動かす。すると肩首の閊え、こわばり、こりがストンストンと剥がれ落ちる瞬間が味わえる。


ということで、それらを説明し、稽古会で実習する。二人組の骨盤調整の実習の他にも、そういったセルフコンディショニングも練習する。


この日は何故か出席者が男性ばかりであった。


筆者が見本を見せるのを、輪になって真似をする参加者。そのとき解説していたのが恥骨と腸骨を結ぶ恥骨脇の骨を押さえて、鎖骨付近のこわばりをゆるめるという調整法。


輪になった男性が、恥骨の両脇を押さえ、立って腰をゆらゆらさせるのである。向かいのビルの上層階から観ていた人がいたら、室内で輪になって立ち小便をしているようにしか見えなかったであろう。


そういえば先々週も男性ばかり集まった稽古日があった。この日のテーマは肋骨であった。


胸椎からスタートした12本の肋骨が、ボディをどういうラインを通って胸骨に至るのか、ということを実感を持って体得しようという三時間であった。


そうすることで、同じ背中を押さえるのでも、押さえ方も意識も激変するのである。もちろん効果も変化の度合いも大きくなるのである。つまり「使い物になる」のである。


この日は、男性ばかりであるので、上半身を脱ぎ、肋骨をあらわにして実習した。


あおむけになった上半身の肋骨のラインを、パートナーが正確にたどるのである。向かいのビルの上層階から観ていた人がいたら、裸の胸もとをまさぐる男たちをみて「ゲイの講習会」かと勘違いしたかもしれない。


筆者が体験的に「これはいい稽古だ!」と思いつく稽古やトレーニングは、どうしてこのように見栄えが良くないのであろうか。