876話 骨盤に注目 3

実はも一つ、ほんとに効果的な稽古、トレーニングがある。


それは自分の体内の骨の位置を正確に実感する、という稽古である。この項の前に書いた


『骨盤の模型をじっとにらんで頭に叩き込み、自分の骨に手で触れて、実感とすりあわせをし』という部分がそれである。


骨格模型で視覚的に位置を覚え、骨格にイメージで人体をかぶせてより立体的に外見上との位置関係を把握し、さらに自分の触れることができる部分の骨格に触れて、後、瞑目し、体の中の骨の位置を感じ取る、という稽古である。


正しい骨の位置、関節の位置などを理解すると、それだけで動きが大幅に変化する。もちろん力みなく動け、軽く楽に動ける方向にである。


人間の動かそうとしている意志が、肝心の骨格とずれている事が実に多いのである。


自分の体内に実感を伴わないで、骨の名前や位置を覚えたってくその役にも立たない。骨の名前や関節の名前など知らなくても、正確な形と位置を「体で」とらえると、その骨が本来の役割通りに動きだすのである。


骨格模型を使った体感誘導法は、ぜひやりたい稽古である。


しかし、向かいのビルの上層階から観ていた人がいたら、骸骨を囲んである者は自分にべたべたさわり、ある者は祈りを捧げるがごとく瞑想をしている様は、呪術を信仰する黒い宗教団体の集まりに見えるであろう。


やはり、筆者の思いつく稽古は、誤解を招きやすいようである。


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