1043話 日野晃は『反則』である

武術家・日野晃先生の「ドラム・ソロコンサート」に行った。

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支離滅裂な文章になる。しかたがない。今も混乱が続いているのだから。


コンサートが終わった。会場の外に出てたばこを吸った。ロビーでは、みんなで「乾杯」。とてもそんな気分ではない。


やり場のない鬱積したものがあり、片づけ中の会場に入って、いすの撤去を手伝わしてもらった。が、まったくまとまらない。


ふらふらと地下鉄に乗ってなんばへ。まだ南海電車に乗り換える状態にはならず、なんばウォークを西へふらふら。


「そば」の「家族亭」によろよろと入った。


いつもであれば「天ぷらそば」などを食すところであろうが、今の状況はとうてい「天ぷらうどん」では回復しそうもない。


とびっきり辛そうな「土鍋のチゲうどん」があったので、即決でそれを頼む。土鍋で沸騰した状態で出てきた。のほほんと食えない。腰を入れて食う。


これで少しまとまったので、南海電車に乗れそうな気になり、乗車して今、これを書いている。



日野晃は『反則』である。


日野晃は『凶器』である。


コンサートのタイトルが「ラ・フェスタ」。司会者は


「みなで作る【祭り】です!」と言っていた。


大嘘である。日野先生には、「みなで盛り上がろう」なんて思いはこれぽっちもなかった。そのくせ、一瞬たりとも気をはずさせることはせず、釘付けにして、アロンアルファで貼り付け、二重三重に縛り付けておいて、かつ、一瞬たりとも「乗る」ことを許さないのである。


「乗れるもんなら乗ってみろ!」とドラムの向こうで一時間、アッカンベーをしているのである。


100メートルダッシュの速度でスタートして、そのまま20キロほど走るのである。


置き去りにされるならまだ気は楽である。視界からいなくなれば忘れればいい。


その時の気分・・・。


ようやく自転車に乗れた小学生が、運動場にちょうど書いてあった運動会用のトラックをよろよろと走っている。これが筆者。日野先生は、その横にレーシングカーで横付けする。そのままトラックを時速300キロで疾走する。それもよろよろと走るこちらを、車の窓からず〜っと見ながらである。


こちらが10メートルをよろよろと走っている間に、本気で300キロで抜きかかるるのである。抜き続けるのである。


観客を無視して、勝手にトリップしているなら、まだいい。こちらを身動きできないようにしておいて、理解できる二桁上を目の前に出し続けるのである。


「乗れるもんなら、乗ってみろ、や〜い、や〜い、乗られへんやろ、いっひっひっひっひ」


司会者は言った。


「祭りですから、立ちたくなったら立って、声を出したくなったら出して!」


あなたねえ、リハーサルはもちろん見ていたんでしょ。S川さんに後で聞きました。一時間ちょっと前に、本番と同じテンションでリハーサルされたんですってね。それを見ておいて(と仮定して)どの面下げて(すいません、下品な表現で)そんなこと言えたのですか。


演奏が始まってすぐ。とても座っては入られなかったので立ちましたわ。


人間とは気の生き物だ。共鳴と共感、共振こそが喜びだ!などと日ごろ口にしている筆者である。生身の達人を前にしているのですから、せめてその身体性のひとかけらでも共鳴しようと、「整体中の感じ取るモード全開」にしました。


でも、どこをどうあがいても、ついていけません。


ゆすぶろうが、ジャンプしようがとてもじゃないけれども、ついていけません。こちらがどうあがいても、舟(船)でたとえればこちらはオールです。日野先生はスクリューです。回転数の桁が三桁四桁違います。オールにスクリュー、うちわVSプロペラ。


「祭りですから、立ちたくなったら立って、声を出したくなったら出して!」


というのは、もしかしたら「どうあがいても乗れない」ことを知っていて、わざと「もしかしたら乗れるのではないか」とこちらを引っ掛けたのですか。う〜む、それならわかる。確信犯だ。


どうしても乗れない。とってもさびしい。


細かくは絶対に乗れないので、せめてその時の「体癖傾向」=エネルギーの種類だけでも感じ取って乗ることにする。


そうすると、かろうじてごくごく荒い密度では乗れる部分が出てくる。


しかし、一人で乗っていてもさびしい。とってもさびしい。そこで隣席のO渕さんに


「今、左右型でしょ!おっと、6種傾向に変わった!肩甲骨で聴いて!」


と、O渕さんの肩に手をかけて肩甲骨を寄せて「乗れる」ようにしたら、O渕さんは、そのまま「ひえっ」っと上を向いて肩甲骨を寄せたまま硬直して座席に張り付いてしまった。


ね、なまはんかな体じゃ乗ることもできないでしょ。


コンサート終了後は、ロビーに出られ、にこやかに談笑し、あいさつを交わし、サインに応じ、記念撮影に応えられる日野先生であった。(たぶん、怖いので遠めに見ていたのでしかとはわからない)


S川さんに紹介の労をとってもらい、感想を述べ、ご挨拶することもできたであろう。しかし、筆者は、いすを運び、ふらふらと一人帰ったのであった。


なにしろ、近くに寄ったら「感電」する、と筆者の身体が言うのだから。


筆者も生命は惜しい。


道場で今日の講習会を受けられた方4名とは、「イス」の間にはぐれたのを良いことに、そのまま置き去りした。なんばで地上に出たら、マックでお茶してますとえこまさんからメールが来ていたのに気づいたが、とても行ける状態ではなかった。ごめんなさい。


日野先生、引き続き24日に東京で第二弾をされる。


こういうことを書いておいてなんだけれども、ぜひ「感電」しに行かれるといいと思う。


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ところで、会場外の誘導や受付などに、おそらく日野先生のところの稽古生の方々がたくさんスタッフされていた。武道の稽古生にありがちな「武張った」ところのない、「いまどき珍しくきちんとした方」ばかりだった。


そりゃそうだ。


「お前、何もできへんやんけ」


ということを毎週骨の髄まで思い知らされたら、逃げ出すか謙虚になるしかないじゃない。逃げ出さなかった皆さんだ。


日野晃は『劇薬』である。


ちょっと他ではなかなかお目にかかれないすばらしい『劇薬』である。